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ということで、ネタ的小話です。
今回のコンセプトは、ストーリーのないPvEで神喚者になれる理由付けと、いかにかっこよく神喚者になったかの妄想が掻き立てられたからです。
これで、絵が描けたら完璧なんですけどね・・・
ちなみに、リンネさんは現在23レベルでデータはこのような感じになります。
種族:エルダナーン(スキル:マジックセンス)
エレメンタリスト(ウィザード)/プリーチャー 称号:ドラグーン&エレメンタリスト
フェイト:11点 基本能力値:筋力・12/器用・9/敏捷・12/知力・41/感知・12/精神・37/幸運・27
能力値:筋力・5/器用・3/敏捷・4/知力・21/感知・6/精神・16/幸運・9
〈メイジ〉ファイアボルト、マジシャンズマイト⑤、ファイアロード⑤、コンセントレーション、フライト、リゼントメント、マジックブラスト、
〈ドルイド〉センスエネミー、ディテクトアタック、ミスルトゥバイタリティ
〈プリーチャー〉ウィルパワー、ディスタントマジック、イミニティ:威圧、マスターラック
〈セージ〉トリビアリスト(女王の誓い)
〈ウィザード〉インフェルノ、マスターマジック⑤、エンチャントウェポン:光、スウィフトウェポン、カウンタースペル、クエイク、チートマジック、チャージマジック、フレイムクラック、インクリーデバイス②、アベンジ、デュアルエフェクト
〈ドラグーン〉ドラゴンソウル⑤、エンシェントソウル、イモータルブラッド
〈ルーンマスター〉ファイアルーン①、アースルーン①、アビリティルーン、スピードルーン
〈エレメンタリスト〉パワー:精霊乱舞、パワー:精霊の怒り、パワー:精霊王招来、異才:ダブルキャスト
〈種族〉ナチュラルヒストリー、エルダーマジック、リクルート
〈一般〉モンスターロア、トレーニング:いろいろ、フェイス:エリカ他いろいろ
装備:右手・ヘキサロッド
左手・ミスティックロッド
頭部・ミスティックサークレット
胴部・デュエルドレス
補助・厄除けの指輪
装身・ミスティックコイン
とまぁ、このような感じ。ピアニィ陛下と近くて遠い存在になりました。
ちなみに違いとしては、味方支援はほぼ無し。威力はパッシブメイン。ってところでしょうか
このキャラの優位性は何はさておきまず命中。基本で24+5D6(ヘキサロッドとミスティック装備セット効果)、エンシェントソウルでシーン6回+2D6で24+7D6。
さらに、ギルドサポート:士気高揚の力を借り、24+8D6の異常な命中値を誇ります。
こんだけ振ると、かなりクリティカルが出ます。
すると、パワー:精霊の怒りで防御は無視に!
また、GH:テンプルの効果が乗った、デュエルドレスの効果でかなりのMPが回復します。(現在GLが14なので22点回復)
ついでに言えば、攻撃が当ると識別ができるディテクトアタックの効果で識別も可能。
別に、ディテクトアタックは感知で識別する必要なんてサラサラないし!(知力22+6D6で判定だー)
まぁ、そんな永久サイクルがある代わりに、火力としては支援捨ててる割には高くないところがつらいところ、2回目の攻撃時で160+8D6が基本です。
弱いわけではないんですけどね・・・
ぶっちゃけ、ギルドサポート(士気高揚・GH:テンプル)の力を借りることで完成するクリティカル型永続機関持ち魔術師と完成系ではないかと思います。
まぁ、たぶん明日のディスカバリーガイドでまた作り直しなんですけどね!
冬コミケ受かったら、まとめて推敲して出すつもり。
(まさか、本当にもう一回抱きしめられるなんて)
泣きじゃくるこのはを抱く幸せを噛みしめている私に向かって話しかけてきたのは、恩人でもある蠅の女王だった。
「さてと…それじゃあ、あたしたちはそろそろ次のゲームを始めてくるわ。それで、あなたはどうするのかしら?魔王の写し身であり、あたしの力で復活した時泉初音さん。勿論私のモノになってくれるのよね?」
一つ伸びをしたベール=ゼファーが、一転して真面目な表情で私を見つめた。
「なにを…」
慌てて顔を上げたこのはを私は抱き直す形で止める。
「あら、大魔王であるベール=ゼファー様からのお誘いですか?」
その提案は彼女の優しさ。
「なっ、違うわよ。別に腐っても魔王であるあんたがウィザード達に見つかったら消されるかもなんて思ってないわよ。ちょっと使えるかもしれないから誘ってるだけよ。」
どこまでも魔王らしくない台詞を吐く大魔王を他の三人の魔王が生暖かく見つめてる。
だけどそれは馬鹿にするものじゃない。愛しさからくるものだ。
たぶん彼女と行動を共にするのも楽しいのだろう。
でも・・・
「ああ、そういうことですか。心配して頂けるのはありがたいですが、私はこのはちゃんのものですから…このはちゃんがいる世界で、その世界を護るために生きていきます。勿論貴方のゲームも攻略させていただきます。」
私は静かに、だけどはっきり答える。
私はこのはちゃんのものだから。16年前に彼女を産んだあの日からそれだけは変わらない。
「そう…じゃあ、これからのゲームは難易度があがりそうね」
大魔王は少しがっかりしたような顔を浮かべたかと思うと、次の瞬間には不敵な笑みを浮かべた。
「ええ、いきなりレベルが上がりますから覚悟していてください」
それは決別の言葉。だから私もその言葉に応える。
「それじゃ、もうここには用はないし、アゼル、リオンもう一回風呂に入って帰るわよ。」
「はい、大魔王ベル」
「あ、ベル待って」
「私は無視ですか?」
旅館に戻っていく魔王達の姿を見送りながら、私はもう一度このはを抱きしめた。
※※※
「はわっ、それで魔法は消滅、おまけに魔王の完全討伐とこのはちゃんのお母さんの復活…ってことでいいの?」
ずいぶんと殺風景になった執務室。その中でパイプ椅子に座り、折り畳み式の机で仕事をするくれは様がうれしそうに言った。
「ええ、とりあえずお母さんは先に家に帰ってもらいましたが。」
「あー、それがいいねぇ…とりあえず手を出せないようにしておくけど…今回みたいなことがまた起きるかもしれないし」 遠い目をしながらくれは様がため息をつく。
その視線の先には崩壊した執務室があった。
「結局、反乱はどうなったんですか?」
お茶をすすりながら、ファルツが呟いた。
「あのあと、あなた達を追おうとする人たちを物理的に止めて、あなた達が世界を救うか、救えないかで賭をしたんだよ。」
「それって…賭になってないような…」
今回の危機は失敗すれば世界は滅びる危機…つまり、失敗した後の話なんてない。
私たちのあきれるような視線に、いたずらに成功したような小さな笑いを浮かべ、くれは様は湯呑みを傾けた。
「くれは様…アンゼロット様に似てきましたね。」
「はわっ!?それは喜んでいいの?」
なんだか、微妙な表情を浮かべながら彼女は言った。
※※※
「それじゃあ、今回の任務お疲れ様でした。詳しい報告書は明日以降でいいから、今日はぐっすり休むこと」
「はい…それでは失礼します」
二人は立ち上がり、ドアの方へ歩いていく。
その後ろ姿にあたしはつい声をかけた。
「二人ともありがとう。」
「お礼を言われることをした覚えはないですが?」
「そもそも僕のせいだしね。」
そう軽く笑いながら挨拶をし出ていく、だけどあたしは本当に感謝していた。自分のやり方を肯定してくれた、そしてそれをやってのけてくれた二人に。
「…本当にありがとう。貴方達のおかげで私はまだまだ頑張れるよ…さーて、お仕事お仕事…今日の判子押しはあと3672枚……はわわわー、特殊部隊グリーンティー、お茶のおかわりお願いー。」
決意が揺らぐ書類の山、その一番上の書類に向かってあたしは判子を押した。
※※※
使い魔から受けたその報告にベルの安堵の声が漏れた。
元凶となる魔王を倒し、このは達が帰って来たとはいえ、魔法がなくなったことが確認できていなからだ。
「ま、まぁ、当たり前よね。あたしが試練までしたんだから。」
「関係ないと思います大魔王ベル。というかどうでもいいです大魔王ベル」
機嫌よくしゃべるベルの言葉をリオンが遮る。
毎度のことだが勇気があると思う。
「どうでもいいとはな…に……り、リオン?」
ベルが振り向くとそこにいたのは目を輝かせたリオンの姿…それは本当にリオンらしくない姿だ。
「あの魔法がなくなったなら、私の本の封印を至急、速やかに、できうる限り早く、無言で解いてください大魔王ベル。」
「わ、わかったわよ」
声は笑っているけど有無を言わさない迫力にベルが圧されていた。
「んー。ルーとの契約の期限もそろそろ終わりね」
封印の解けた本を高速で読みふけるリオンをおいてわたしとベルはもう一度温泉に入りに来ていた。
「ごめんなさい、ベル…わたしが無理なお願いをしたせいで」
そう…ベルと一緒に温泉に入れた喜びで忘れそうになっていたけど、わたしを温泉にいれるという無理なお願いのためにベルはしなくてもいい労力と力を使った。
特にルー=サイファー様に頭を下げるという…彼女にはあり得ない行為までしてくれた。でもベルは…
「大魔王に二言はないのよ。あんたが気にすることなんてこれっぽっちもないわ。それに…」
「それに?」
「あたしだって、あんたと一緒に温泉入りたかったからいいのよ」
真っ赤になりながらそっぽを向く彼女を見てわたしの目から涙が流れていた。
「な、何で泣くのよ」
あせるベルになんでもないと笑いかける。
「ベル」
「だからなに・・・よ?」
わたしはベルに抱きついた。
「な・・な・・な・・・」
「ありがとうベル。大好きだよ。」
あせるベルにわたしはその一言を告げた。
※※※
今日も私は夢を見る…あの日、私の“世界”が変わったあの日の夢を…だけどその夢はもう悪夢じゃなかった。
(…のはちゃん、このはちゃん)
私はまどろみの中でその声を聞く。夢の中で聞いていたあの声。
「ん、ふぁる?」
「おはよう、このはちゃん。起きる時間だよ」その声に私は目を覚ます。
「おはようございまふ…んーと、おはようのキスは?」
寝ぼけたふりをしながら私は言う。素では言えない恥ずかしいことを。
「はいはい、お姫様はわがままだな。」
「むぅ」
そんな風に笑いあいながらファルツと唇を重ねる。
そして…
「あるじ様ー、朝ですよ。今日のご飯は三葉ととき卵のお味噌汁と砂糖たっぷりの甘い卵焼き、それにもやしと卵の…って、ファルツさん!なんであるじ様を起こしてるんですかっ!これで一週間続けてですよ?わたしに喧嘩売ってるんですね!?わかりました買いましょう。言い値で買うから表に出てくださいっ!!」
「あらあらあらあら、毎朝お熱いわねぇ。あ、子供は高校卒業してからにしなさい。若いうちに作ると大変だから…主にわたしが…まだわたし孫の世話より遊びに重点を起きたいから」
古鉄とお母さんが乱入するのもいつも通りだった。
そんな光景を見て私はため息をつく。
でも…私は笑みを浮かべていた。
(いつも通りの始まりの朝。だけど毎日違って感じるのは自分の心の持ち方かしら…それに)
「僕も隣にいるしね。」
私の心を読んだようにファルツが言う。
「あなただけじゃないわよ。」
そう言って笑いかけた瞬間、部屋に電話の音が響いた。
「はい、このはですが?」
「あ、このはちゃん?」
「くれは様?」
焦ったようなくれは様の声を聞き、私の表情が変わる。
「またまたまたまた世界の危機なんだよ。ベール=ゼファーがまたなにか計画を立てててね、とりあえずファルツさんと一緒に宮殿に来て、あたしのお願いにはわかはわわで答えてー!」
「わかりました。すぐ向かいます。」
私は電話を切る。
大事な日常の時間は終わり、今から始まるのは非日常の時。
さぁ…
「世界を護りに行きましょうか。」
Fin.
とうとうクライマックスー・・・まだ終わらないけどねー
「そんな・・・」
それはどうやっても通じないと言ってることに変わりない。だけど・・・
「大丈夫だよ、このはちゃん・・・それも含めて・・・君を勝利へ連れていく・・・とりあえず君を癒す。」
「なにやってるの!?」
私は悲鳴にも似た叫び声をあげた。
今にも倒れそうなファルツが自身ではなく私にヒールをかけたことに。
「焼け石に水はかけるだけ無駄なんだよ」
長く延びた歯を見せるようにファルツ笑った。
「別れは終わったかしら・・・いい加減その三文芝居を見るのも疲れたわ。まず一回死になさい。」
「させな・・・」
「自分を守れ、このは・・・僕は一度死ねる」
とっさに攻撃を邪魔しようとした私を止めたのはファルツ。 彼の声は痛みを受けること、勝つために覚悟をした声だった。
・・・だから私は、ファルツを護ることをやめる。その考えにいたれる自分の心に嫌気を感じながら。
そして・・・
ー世界に終わりをもたらした星の欠片は
その身を虚無に変え
原初の宇宙をもたらすー
「〝ヴァニティワールド〟」
虚無があたりを包んだ。
※※※
膨れ上がった虚無に包まれ、僕は自分を失いかけていた・・・
(く・・・意識が・・・肉体が分解されていく・・・このはちゃんのためにあの魔法だけは・・・あれ?ぼくはだれだ・・・なにをすればいいんだ?なにか、するとやくそくしたきがする・・・)
失いかけた意識の中を一人の少女の姿が横切る。黒髪の少女の姿が。
(そうだ、このはちゃんのために、道を創るんだ)
僕は一瞬意識を取り戻す。そして、
「いけぇぇ」
放たれたのは5本の闇の鎖。
「・・・死ぬ間際に攻撃?あなた程度の攻撃じゃ無駄よ」
ウィネスは避けようともせず障壁を展開する。だが・・・放ったのは攻撃ではない。5本の鎖は魔王の足下に突き刺さり障壁に絡みついた。
(これでいい・・・)
5本の闇の鎖が確実に巻き付いたことを確認し・・・意識を手放そうとした。
「ファルツ・・・」
だが、耳を揺さぶる泣きそうな彼女の声に僕の意識は無意識に消えることを拒んだ。
※※※
「ファルツ・・・」
「これで一匹。しぶとい虫だったわね、あとはあなた一人よ、このはちゃん」
ウィネスのその言葉は、私の耳には入っていなかった。
「ファルツ・・・私と約束したよね・・・いつまで死んでいるの?」
私の声は震えていた。ファルツを信じている・・・信じている筈だけど、いざ彼を感じられなくなることが、こんなにまでも辛いとは思っていなかったから。でも・・・
「このはちゃん、現実を見つめなくないのは解るけど、あれをまともに受けたら吸血鬼だって蘇・・・え?」
ファルツは私が苦しんでいたらいつだって来てくれた・・・そう・・・
「・・・ごめん、このはちゃん・・・起き損ねる所だった」
優しい笑顔で。
「本当にゴキブリみたいな奴よね、吸血鬼って」
「そうだね。否定はしないよ。」
ファルツが笑っているけど、それが無理をしていることは私も気づいていた。いくら吸血鬼の力で再生したとはいえ、一度プラーナを完全に消す一撃を受けたのだから当たり前だろう。
BKはもう鎧としての役割を放棄し、ファルツが戦場に立つ為の補助器具にすぎない。
だけど、そこに居てくれる。私に笑いかけてくれる。それだけで私はなんの心配もなかった。そんな私に気づいたのだろうか、ウィネスに集まる魔力が増大した。そして、その眼光は殺意に満ちていた。
「でもあなたたち・・・さっきので死んでいた方が良かったと思うわよ・・・」
その言葉は必殺の一撃を放つ宣言だった。
「わかってる・・・絶対に止める」
できるか?ではなく、絶対に止めるという意志・・・だけど、その意志が挫けそうなくらいウィネスから吹き荒れる魔力はまがまがしいものだった。
「この魔法は私にしか使えない魔法・・・虚無に還った世界を・・・あらたに創造する魔法」
世界の元となる虚、世界に光をもたらす天、そして世界に命をもたらす大地と水・・・4つのプラーナが混じりあっていった。
「ごめん、このはちゃん・・・ここまでとは思ってなかった・・・」
ファルツが急に謝ってきた。
「大丈夫・・・貴方を護るためなら・・・私は」
溢れるプレッシャーに私は耐える。
「世界の生け贄になりなさい・・・〝極星創世〝死ねえぇ」
「・・・世界だって撃ち抜いてみせる!」
放たれた〝世界の種〟。それは、私の力のすべてを使っても届かない一撃だった。
(〝望み見る幻〟・・・幻想を本当にする魔法か・・・でも・・・幻想しろ・・・世界を撃ち抜いた私を・・・そしてその幻想の舞台を舞う!)
古鉄から延びたプラーナの糸が〝世界の種〟に巻き付く。
「無駄よ・・・人の力で世界は止められない」
「私だけなら無理かもしれない・・・だったら」
「命中補正・・・ピンポイント」
古鉄の力を借り、迫りくる〝世界の種〟に向かって一点斉射する。
「闇よ絡まれ。」
ファルツの闇が絡みつく。そして・・・
「私はみんなの力を借りる・・・そして、これは〝貴方〟から頂いた力です。」
炎は万物を燃やす力・・・たとえ、それが世界でも。炎は万物の再生の力・・・それは世界だって。
「ガンズオブブレイズ・・・ブレイクシュート!!」
放たれた太陽にも似た輝きは〝世界の種〟を飲み込む、そして・・・
「うそ・・・」
内側に入り込んだ炎は迫り来るを〝世界の種〟を内側から熱し、〝世界の種〟は鳳仙花のようにはぜた。
そして魔力の欠片が私たちを避けるようにまき散らされる。
「あの攻撃を・・・すごい」
ファルツの感嘆を心地よく思いながら、私は魔力水晶を古鉄に送り込む・・・そして宣言する。
「私たちの勝ちです・・・古鉄・・・封印解放」
「了解・・・モード・リーゼ!」
古鉄が魔力水晶に含まれた魔力を喰い、左手のガンズオブブレイズを取り込む。それと同時に古鉄の核である紅い宝石が激しく輝いた。
これが古鉄の切り札・・・外部から魔力を回路に流すことでリミットを破壊し、プラーナドライブを暴走させる諸刃の剣。だけどやるしかなかった・・・目の前の魔王のバリアを貫くためには。
「多少威力が上がったところで・・・私は倒せないわよ」
それは確かに事実だった。体力が少ない魔法系の魔王だとしても、あのバリアがある限り、いくら威力を上げても足りない。だけど、私はその不安から目をそらす。
「そんなの、やってみなければわからない・・・古鉄・・・フルファイア・・・いっけぇぇぇ」
放たれたのは極限にまで圧縮された白炎の弾丸の群。
「すごい威力・・・だけど私の命には足りないみたいね・・・障壁よ」
勝ち誇った笑いとともに展開される4重の障壁。
「くっ」
「安心して、このはちゃん・・・もうあの障壁に意味はない・・・浸食術式・闇乱」
ファルツの言葉通り・・・私が放った攻撃はなんの抵抗もなくウィネスに突き刺さった。
一瞬惚けたような表情を浮かべたウィネスが次の瞬間苦悶の表情に変わった。
「痛い、熱い・・・なんで私の障壁が無力化したの?私の最強の盾はベルにだって解除できないのに・・・」
痛みにのたうち回るウィネスからは先程までの超然とした雰囲気が消えていた。
「さっき僕が死んだときに放った闇の鎖だよ」
「え?」
「あれは防御系術式に対する解析・妨害用魔法。鎖は捕えた者の結界の展開を浸食破壊する・・・まぁ特殊な術式にしか反応できないけどね」
そう笑いながらファルツはイヴリースの右手をウィネスに向かって突きつける。
「やめ・・・やめて」
そこには恐怖に脅えた表情で逃げようとするウィネスの姿があった。
「貴方は強い・・・あらゆる魔法を使いこなせ、魔力は巨大だ。だけど・・・机上の魔術師にすぎない」
ー闇よ 浸食しろー
「あ、ああ」
だが、放たれた闇の鎖はそれを許すことはなかった。音もなくオートで展開される結界に巻き付き浸食する。
「このはちゃん・・・終わりだ」
「うん」
頷き、私を見上げてくるウィネスの胸に古鉄を当てる。
「まって、私を殺さないでくれれば、初音を返すわ・・・だから・・・」
恐怖に歪んだ顔から出てくるのは、私の心に響く提案・・・だけど。
「お母さんに頼まれているんです。その提案は飲むなって・・・だからその提案は飲めません」
そして私は伝える・・・心の中での会話を。
「なんでよ・・・自分が死んででも私に逆らうの?」
「お母さんからの伝言です。『アンタのことは大っ嫌いだけど、私を私として生んでくれたことには感謝してる。だからせめてものお礼に貴方と一緒に死んであげる』だそうです。」
その言葉を聞いたウィネスが一瞬表情を固め・・・苦笑を浮かべた。
「あはは、最後の最後まで・・・感謝の気持ちじゃないでしょう」
別れの言葉とともに放たれた白炎の弾は静かにウィネスの胸を貫いた。
エピローグ
撃ち込まれた白炎が魔王を体内から燃やしていた。
「はは・・・、私の負けか」
寂しげに笑うウィネス。だが、 なぜだろうか、その言葉に恨みは含まれていなかった。
「ファルツと初音お母さんのおかげです」
古鉄を人に戻しながら私は消えゆくウィネスを見つめていた
「やっぱり自分を敵に回すものじゃないわね・・・さて、このはちゃん。」
「なんですか?」
ふと、私はウィネスを嫌っていないことに気づいた。
「〝お母さん〟って呼んで」
冗談めかした魔王らしからぬ願い。だけど・・・
「そう呼ぶのは初音お母さんだけです。」
「それはそうね」
私はその願いを拒む。だって・・・
「あなたはたぶん、おばあ様です」
その言葉に魔王が一瞬固まり、次の瞬間爆笑した。
「え・・・だって初音お母さんがあなたの娘みたいな存在なら、私はあなたにとって孫みたいなものじゃ」
「いや・・・まぁ・・・でも初音さんとウィネスのDNAとかはたぶん一緒なわけだし」
回復を終えたファルツの少しあきれたように近づいてきた。
「そりゃそうよね・・・ふふ・・・あー、おばあ様か・・・こんな見目麗しい女性に対して言う言葉じゃないけど・・・」
消えかかる体を震わせながらウィネスが笑っていた。
「うん・・・じゃあ・・・かわいい孫にはびっくりするいたずらをしてあげないとね。」
「え?」
「・・・驚いてね、このはちゃん」
そう言ってウィネスは笑って消え、それと同時に辺りの記憶結晶が崩壊を始めた。
「え?」
そして世界が歪み、揺れる。
「これは・・・この世界が崩壊する?」
「・・・いたずらってこれかなぁ」
「「いいから逃げる」」
そんな間の抜けた古鉄の問いには答えず私とファルツは転送陣に向かって飛び立った。
崩壊する世界から間一髪で逃れた私たちは温泉街に戻ってきていた・・・転送陣の出口がここだったのだ。
「あら?二人ともお疲れさま」
そんな私たちをベールゼファーが見下ろしていた・・・風呂上がりの牛乳を飲みながら。
「牛乳飲んだって胸は大きくなりません」
「何か言ったかしら、時泉このは?」
つぶやきに目元を痙攣させながら聞き返す大魔王から私は目をそらす。
「まぁ・・・いいわ。今回は誉めてあげる。それと・・・そうね一つだけご褒美をあげる。」
「「ご褒美?」」
ベールゼファーが発するにしては不可解な言葉に、耳を疑う。
「借りは持ちたくないの・・・ん」
そう言うとベールゼファーから流れ出た魔力が一つの形を造っていく。その形は私のよく知っている姿・・・
「ウィネス?」
「違うわ・・・このは、この入れ物に手をあてなさい」
「人形遊びの趣味はないのだけど・・・」
わけも分からず私はその〝人形〝に手を当てる。
その瞬間・・・ただの〝人形〟だったはずの物が紅きプラーナを吹き出した。
「成功ね。」
「なに・・・わぷ」
なにが?とは聞けなかった。私の言葉を遮るように私は抱き締められたからだ。
そして、感じたのは暖かさだった。
「なるほど、ウィネスの〝いたずら〟と言うのはこれか。」
「使われるのは癪だけど、このご褒美が一番いいでしょ。」
「ベールゼファーって時々魔王らしくないよね」
ファルツ達の語らいなんかどうでもよかった。
「お母さん?」
「そうよ・・・あー、あの母親に情けを掛けられたのが悔しいはずなのに、またあなたに会えた喜びが強すぎて、悔しさを感じないわ」
そんな風に私の頭を撫でるのは初音お母さん以外の何者でもなかった。
「あは・・・ほんとにいじわるだ・・・」私の目から溢れだした涙は止まる気配がなかった。
行動値がこのは36、ファルツ43、ウィネス40スタート。
とりあえず、イニシアチブでこのはがプラーナドライブ、ファルツがレイソード。
その後ウィネスの攻撃に入る前にこのはが“サトリ”で割り込み、マイナーでクイックムーヴでガンズオブブレイズ&戦闘人格・・・・切り札は先に切ります。
なぜなら命中がほしいから。ガンブレと戦闘人格・レイソードで命中が「6」変わります。盾乙女を使う場合は欲しい・・・
そして撃った攻撃ですが・・・レインボーフィールド・ダークバリア・プリズムアップ・マジックディフェンスブースター・ヴァニシングの重ねがけによってギリギリですが完全打ち消し。カウントは4消費です。ちなみにこのはの攻撃力100点を超えています。それをとめるって・・・どんだけ・・・
続いての行動はギリギリこのはより上だった魔王。マイナーでスターライトからディバィンコロナにマイナーで高速詠唱&魔装変化&魔力拡大。
だがここは、何とか盾乙女。攻撃を失敗させます。
ギリギリ通じない=もうちょい威力出せば通じる。ということで、ラウンド一回のフルファイア付きで障壁を突破。でもそんなんじゃ5・6点…勝てません。しかし、攻撃を重ねることで魔王のカウントを下げます。
そんでまぁ回復して、敵の能力を予測するため&バリアカウントを使わせるため&HPの温存で特殊能力を使わず攻撃。
ここで、ウィネスがスターフォールダウンw。シナリオ一回魔法二発目です。正直ほんとにセッションしてたらGM刺される気がします。
このはとファルツがそれぞれ必死に耐えます。
続いて、ファルツの手番で行ったことは…なんとエネミー識別w
達成値30出せというのをキスの時に実を言うと使っていた、“魂の通貨”でコピーしていた幻想舞踏を2回重ねて成功に変えます。ここで何が恐ろしいって、ファルツのプラーナは残り2・・・。
続いてのこのはの攻撃で、とりあえず、攻撃で魔王のカウントを0に。
普通ならカウント消費ができないため多重障壁は使えません・・・・が、カウント0の時のみ、魔力転化を魔気呼吸で使用できる・・・エネミー識別に成功してなければ、知るかボケと叫びそうになります。
このようにカウント0狙いも無効化です・・・・ほんとに敵で出したら殴られそうなボスだ・・・
やっとクライマックス突入です!
長かった・・・ちなみにボスはマジで用意・・・プレイヤーのときに出されたら、確実にマジ切れするデータ用意させていただきました。
「つまり…」
「本体は精神体で、本体とは違った属性を持つ写し身の肉体にはいることで、虹色の才を持つ本体で3つ、肉体の属性で二つ、併せて5つ使えると…ついでに言えば、それによって世界結界や、ラビリンスシティの結界すらだませる…ということか。なるほど、だから魔法をすべて記憶できる容量が確保されるわけか」ファルツが忌々しげに言葉をつないだ。
「…それで今の状況は?」私が魔力の暴風の中心を睨みつけながら尋ねる。
「本体を完全に解放してるのよ…逆に言えば」そういってお母さんは言葉を止めて笑う。
「なに?」
「あの魔王を倒すチャンスよ、このはちゃん」その言葉は私たちを信じきったものだった。
クライマックス魔の宴
「軽く言う…」
「でも、ホントの意味で勝つにはそれしかない」
「あるじ様達は負けません」覚悟は決まった…道は一つみたいだから覚悟するしかないともいえるけど。
「うん…それじゃあ、三人ともがんばってね」そう言うとお母さんの存在が薄れ始めた。
「え?」
「あー、やっぱり。人として復活してもやっぱり駄目か。同存在ってめんどくさいわねぇ」力無く笑うお母さんに、私は振り向かずに尋ねる。
「今度こそ、“さよなら?”」
「どうかなぁ?私はしぶといよ。」その声はあきらめてなんかいなかった。
「じゃあ…あとでね」だから、私も信じる…お母さんの言葉を。
「そんな…このはちゃんいいの?」
「いいのよ。あ、ファルツくん…娘をよろしくお願いします。泣かせたら…悠久の時を使って苦しんでもらいます」
「え゛?」そんな言葉を残し、お母さんの存在が完全に消えた。
「…すごいお母さんだったね。」
「そうですね、だからお母さんは帰ってきます…それはそうと」渦巻く魔力が収まり始める…戦いは近いみたいだ。だけど一つだけ、ファルツに伝えていないことがあった。
「ん?なんだい?」
「この戦いが終わったら、告白からやり直してください。」
「へ?そ…それは…」慌てるファルツ。そんな彼に笑いかけながら話を続ける。
「だって、あの告白は私じゃなくて“私”に言ってたでしょ。だからダメです」
「…わ、わかったよ。」
「でも…先に返事しておきます」
「え?」顔を伏せたファルツの唇に私の唇を重ねる…そんな可愛い不意打ち。
「ん…」不意打ちでキス…我ながら恥ずかしいことをしている。だけど、その行為は力が溢れてくるような気がした。
(なるほど…キスってこんな気持ちいいんだ。)
「ぷは」苦しくなるくらい長いキスだった。たぶん、今私はよくわからないくらい幸せだった。だから…
「さて、そろそろ…始めましょうか」もう、負ける気がしなかった。
「人がなにも言えないのをいいことに…勝手なことを言うな」魔力の風が収まろうとしていた。
「私たちに倒されるための変身は終わりましたか、魔王ウィネス?」そこに立っていたのは漆黒のドレスを纏ったウィネスだった。
「さて…死ぬ準備はいいかしらウィザード達」その目に灯るのは暗き憎悪…さっきまでの私ならその目に負けていたかもしれない。でも…
「いいえ。全くできていません…できているのはあなたの魂に撃ち込む弾丸位です。」
「そうだね…むしろ終わるまでにもう一回告白のセリフを考えるのが大変かな」私たちは軽くうそぶく。魔王を打ち砕くため…未来を刻むために。
「そう…ウィザードはいつもそう…わたしをイライラさせる…さっさと死になさいよっ、あんた達はわたしに恐怖の顔を見せて死ねばいいのよ。わたしの邪魔をするなぁぁぁ」
「それはこっちの台詞っ。」
「ふん…ベルが用意したあの程度の浸魔に苦戦してた貴方達が…わたしに勝てるわけないでしょ…」
「っ」見られていた…そんな驚きと供に感じたのは“好都合”の三文字。
(あれを本気だと思ってるなら…ちょうどいい)
「はは…なら、これくらいじゃ無駄かな?」笑いを浮かべたファルツが指を鳴らすと
「来い、“裏切りの天使(イヴリース)”」轟音とともに月匣を越え一体のB-Kが降り立った。
「ブルーム…ナイト…」私はかけのぼるようにコックピットに座るファルツ。
「そんな虚仮威しは…無駄よ!」
それが戦いの始まりになった。
三者から溢れるプラーナ、それは私達に限界を越えた速さを生み出していた。
「古鉄っ、完全解放っ」古鉄にプラーナを注ぎ古鉄の白き輝きが強くなり
「“光よ宿れ”」イヴリースから舞ちた羽の一枚が古鉄に吸い込まれるように消えた。
「威力の増加…そんな意味がないこと…なに?」戦いが始まったからも無駄口をたたく魔王を黙らせたのは私から溢れる魔力…私には扱えないはずの魔法…お母さんが教えてくれた魔法。
“魂を駆けし灼熱の息吹 母なる優しき風の中で 死という始まりの形となせ”
「ガンズオブブレイズっ」
私の体内から溢れ出た魔力が一丁の紅い銃の形になる。
「そんな、さっきまでは使えなかったはず」私の中に入ったからこそ言える台詞。だけど今となってはおかしかった。
「ええ、さっき覚えましたから」そういいながら私はスイッチを入れる…“殺す”ためではなく“護る”ために。
「魔力水晶弾装填…フルファイア」水晶弾に炎と虚無が混じりあう。私の命をも注ぎ込まれた、その一撃は避けると言う動作もできない魔王に吸い込まれた。
だが、その土煙の中に浮かぶ影の手には星の輝き…そして輝きは太陽の輝きに変わる。
「星の輝きは儚い…だがその本当の輝きは太陽と同じっ。ディバィンコロナァァァ!」
土煙を吹き飛ばし迫りくる小太陽は当たれば確実に私とファルツを焼き尽くす熱量を持っていた。だけど…
「それは止める!」私はその太陽の下に潜り込んだ。
「吹き飛べ。」熱量に圧されながら放った砲撃は太陽を上に押し上げ、城の屋根を焼き貫き爆発した。
「初っぱなからディバィンコロナとはね。」ファルツの震えを押し殺した声が響く。
「あら?だって私にとっては切り札じゃないもの。」土煙が晴れた場所にたたずむのは傷一つない魔王の姿。
(ディバィンコロナより驚かされるのは、私の最大威力を受けてもダメージが無いこと…魔法が効かないのか、純粋な防御力なのか、属性的なものか…)
「確かめる。ファルツっ」
「わかってる。“我が闇よ貫け”」BKが宙に舞い、手が銃口に変化する。放たれた紅い闇は、光で書かれた魔法陣を通り抜けると圧縮され蝙蝠の形となり、魔王へ向かって羽ばたいた。
(どうなる?)
「無駄よ。」そうつぶやく魔王の前には幾重にも重なった障壁が生まれていた。
「なるほど…すべての魔法を操る…か」私の声はたぶん焦りに満ちていた。
だけど
「“効かない”じゃなく、“耐えられる”なら…それを超えればいいだけ」そう、私にできることは相手を貫くこと…そして逆転の手を考えるファルツに少しでも多くの情報を与えることだけ。
(他人任せね…でも、その道を作る助けはする。)
「古鉄っ。最大威力…私の命に遠慮せず。」
「は…はい。」
「撃ち抜けぇ」さっきよりも威力を増した幾重にも放たれた光の奔流がウィネスに迫り…障壁に阻まれる。
「無駄よ…その威力じゃ届かな…え?」
「ガンズ・オブ・ブレイズ…一点集中発射(ピンポイントショット)」(古鉄の銃弾で障壁は削れているはず…同じ場所を撃ち抜く)
「いけ、断罪の炎!」乱射された炎弾はすべて同じ場所に着弾し、障壁を削る。そしてそのうちの一発が大半の威力を失いながらも障壁を貫き、ウィネスに当たった。
「く…軽い火傷程度とはいえわたしにダメージを与えるなんてね。だけどいいの?そんなに命を捧げて?」
「…この程度じゃ終わらない」
「そう…俺が終わらせない“紅き血の羽よ舞い踊れ”」ファルツの声とともに血の色をした羽が舞い、私に降り注いだ。
(力に変えた生命力が戻ってくる…これはヒール?)
「俺がいる限り…このはちゃんは死なせない」
「ファルツ…ありがとう。」
(次は私の番…でも、さっき乱射したせいで、力が弱い…半端に命を注いでも意味がないし…ちょっと待って)さっきの私の攻撃で張られた障壁とファルツの攻撃で張られた障壁、威力が段違いなことは明らかなのに、張られた障壁の枚数は一緒だった。
つまり…一つの考えに至った私は踏み込みとともにウィネスに近づき、その勢いのまま、両手の武器から弾を吐き出す。
「なにを考えているか知らないけど…無駄よ」そういって展開された障壁は…私の命を込めていない攻撃をたやすく吹き散らせた。
(やっぱり…あの障壁はいくつもの魔法を重ねたものだけど、単品では使えない)その情報は一筋の光明だった。
「なに…その目は…勝てる方法が見つかった見たいな、その目は?」
「違う…勝てるの」笑いながら私は言う。
「貴様は本当に初音にそっくり…とても可愛いわ…存在ごとなかったことにしたいくらい…だけど、わたしは優しいから…死で許してあげる。落ちろ恒星…“スターフォールダウン”」
「く…ファルツっ」私の声は悲鳴に近かった。
遙か彼方から降り注ぐ星は的確に私とファルツと…城に向かっていた。
(だめ…私への攻撃は相殺できるけど、ファルツが…)
「大丈夫、このイヴリースをなめないでくれ…バリア展開っ」轟音とともに私たちに降り注いだ隕石は私たちとともに城をも破壊した。
※※※
(く…かっこいいこと言ったわりにはボロボロだな)
生温い液体で滑るコックピットの中で俺は霞む目を開けた。操縦するイヴリースの右手は失われ、足の駆動もままならない。だが…
(俺の脳が動くなら十分…)考えるべきことは、このはちゃんが勝つための道の作り方。
今魔王ウィネスを倒すために必要なのは、あの付与魔法たちをどうにかする方法。
だけど、俺とこのはちゃんに付与魔法を無効化する方法はない…だけど幾度の攻撃にさらされる中、一つだけ違和感があった。
それはなんだ?昔みた彼女の資料にはなにが書かれていた?
思い出せ、このはちゃんの期待に答えるために、そして未来を紡ぐために…脳が熱くなる。
(なんだ、これ?ありえない思考速度が働いてる…ああ…なるほど…さっきのキスの時か。はは、ここまで助けてもらっちゃって恥ずかしいな。)そんな自嘲。だけど、すべてはつながった。
※※※
「あらあら、先に城の方が壊れちゃった」その声で私は意識を取り戻す。一瞬気絶していたらしい。
廃墟と化した城、対峙するのは魔王。
(ファルツは…)
不安で押しつぶされそうになりながら、ファルツがいた方を見る。
「っ…」息を呑んだ。そこにあったのは右腕が失われ、オイルがまるで血のように流れでるBKだった。
「あなたは、無事みたいだけど…あなたの好きな人はどう…」
バシュン…
その先は冗談でも言わせるつもりはなかった。無言で撃ち放たれた光の奔流が張られた障壁に弾かれる。
「勝手なことを言うな」
「あら、ごめんなさい。でもここで死んでいた方が楽なのに…っと」
「…それはどうでしょう」気づいたのは偶然だった。壊れた城の破片をウィネスが避けたこと…つまり。
(今なら障壁を張れない?ならっ)
「私があなたを、今撃ち貫けばいいだけ」(さっきまでの半端な攻撃じゃない…ギリギリまで注ぐ)
「古鉄っ、いっ…」なぜか、ウィネスは笑っていた。その笑みに不安を感じながら、私は引き金を…
「まだだ」だが、その時響いたのは、ファルツの血を吐くような声だった。
「くっ…」引き金は止まらない。だけどとっさに命を注ぐ事はやめていた。そして放たれた奔流は
「ちぇっ」不満げな舌打ちとともに消えていた。
「なにが…」
「魔法力へのダメージに変換したんだ。そして無限に近い彼女の魔法力ならば…攻撃はほぼ無効になる」コックピットの装甲板を蹴り壊しながら血みどろのファルツが忌々しげに説明してくれた。
「あら、そこまでばれたの?そうよ。私の切り札。多重障壁が使えなくなる一瞬に発動する超☆魔法。」