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いろいろ、書いてたら設定が生えてくる今日この頃。おかげではないがどんどん大きくなっていく・・・どうしよー
「さて…ファルツ。私達もあがります」
「わかった。俺もあがる…なんだか恋人みた…ぎゃ」その言葉を封殺するように桶を当てておく。
「失恋したばかりのハルカの前で、ここまでバカップルぶりを見せつけるとは…このはは鬼ですね」その様子を呆れたように見ていたリオン・グンタがつぶやいた…言っている意味は理解できなかったが。
「大丈夫!流石に慣れてきた!」苦笑いを浮かべながらも力強く言い切るハルカ…だから、どういうことなのか。
「あるじ様、早くでないとファルツさん待たせちゃいますよ。待たせたら…また恋人みたいだとか言われますよ」古鉄が疑問符を浮かべる私を引っ張る。
「いろいろ突っ込みたいところはあるけど…まぁ…いい。ハルカ…あなたには一応礼を言っておく。ありがとう」私はそれだけ言って、着衣場につながるドアに手をかけた。
「どういたしましてって、私にはお礼言うんだ…そうだ、ベルが言ってなかったことなんだけど」そんな私にハルカはいうか言わないか迷うような、そんな感じ。
「なに?」だから私は逆に気になった…彼女の言葉は真理をつくことを知っていたから。
「いや、そこまで重要な内容じゃないよ。でも…うん言っておこう。ウィネスさんはものすっごく外面はよくて、隠し事なんてないです!みたいな雰囲気を漂わせてるけど…おなかの中は闇すらも飲み込む漆黒だと思う…だから・・・」
「ほんとうの切り札はちゃんと隠している…と」私の言葉にハルカは静かに頷いた。
(切り札…ね)「いやなこと聞いたわ」着替えが終わり外に出てきた私は、そんな事を考えながら男湯の前に立っていた。
なぜなら…
「出てきませんねぇ」ファルツが風呂から出てこないからだ。
「私も詳しくないんだけど…ふつう逆じゃない?」
「そうですね…まぁ普通じゃない=なにかあった、と言うわけでもない気がしますが」
「そう…よね」古鉄の言ってることは正しいのに、なぜか私は不安を覚えていた。
「あるじ様。気になるのなら入ればいいんですよ。男が女湯にきたら、犯罪で滅殺ものですが、女が男湯にきても…犯罪ではありません」前を見据えながら古鉄は言い切る。でも、確かにその通りだ。
「そうね。じゃあ古鉄、武器に」
「なんでいきなり武器モード?」
「いやな予感がするからよ…」そう…私はいやな雰囲気を感じていた…この感じはあの日家の玄関を開けるときに感じていたもの似ていた。
「了解です。」そう言うと私の手には一本の箒が収まった。そうして、静かに扉を開け…同時に聞こえたのはファルツが女性と言い争う声だった。
「魔法の知識もお金いやだなんて…お姉さんの体がいいなんて…」
「そんなこと一言も言ってないぃぃ!」
「あ…ファルツさんが女性に襲われてる」古鉄のつぶやきはもう聞こえていなかった。
「標的確認…超・遠距離射撃…」
「あ、あるじ様?いきなりそれ?というか標的はどっち?」
「…両方」
「え?」間抜けな声を上げる古鉄を無視し、静かに私は引き金を引いた。
※※※
それはいきなりだった…風呂からあがろうとしていた俺の前に現れたのは、タオル一枚を巻きつけただけの一人の女性…いや魔王。
「“魔術狩りの魔王”ウィネス=アクライ…なんのご用でしょうか?」
そう言って俺は睨みつける…だが、ウィネスはにこやかに話しかけてくる。
「魔術師ファルツ・ファードさん。あなたが創りあげた最高の魔法…“暴走する奇跡”を私に教えていただけますか?教えていただけるのなら、対価にあなたが望むモノを与えましょう。なにがいいですか?あなたの知らない魔法?知識?お金?プラーナ?不死の…ああ、あなたは吸血鬼でしたね、じゃああとは…」楽しそうに…ほんとに楽しそうに聞く…だから俺は決別の意志を込めて言い切る。
「あなた様が与えられるモノでほしいものなどありませんよ…まぁ、強いて言うなら…あなたの命…ですかね!」その言葉と同時に俺は衣をまとい、左手から血色の刃を放った。
その刃は湯気を斬り裂き魔王に当たる…だが、その一撃は魔王が巻いていたタオルを切り裂くことで精一杯だった。
(装備が整っていないとはいえ。私の魔法では傷もつけられないかっ)悔しさに歯噛みするが、敵対した以上どうにかしなければいけなかった。
(とりあえずは、このはちゃんが来るまで耐える!)そんな決意をし、身構えた…だが、ウィネスは少し焦ったような表情を浮かべてたたずんでいた。
「そんな…」茫然とした様子でウィネスがつぶやく。
「?」
「そんな、魔法の知識もお金いやだなんて…お姉さんの体がいいなんて…」
「ぶっ!?そんなこと一言も言ってないぃぃ!」俺は叫んだ、心の底から叫んだ!
「え?だって私の命がほしいんでしょ?それに私を裸に剥いたじゃない。」
「攻撃扱いされてないの!?辛い…それすっごくつらい」
「しょうがないわね…あなたがそれを望むのならば」
「いや、望んでないよ。そういう意味じゃないから。」
「恥ずかしいのね…いいわ、お姉さんがリードしてあげる」
「だから、ちが…って横から砲撃が、避けられない」
「え?あら?」
「「大気に満ちし力よ、我が意志の下で魔を弾く盾となせっ」」俺とウィネス、二人がとっさに張った防御魔法は迫りくる魔力光をなんとか弾いた…ってこのプラーナは!?
「なにをしているの…ファルツ」その平坦な声は、俺に一分の喜びと9割9分の恐怖を感じさせた。
※※※
「な…なにをしてるって…魔王に襲われてるんだけど…というか、さっき完全に俺のことも狙ってたよね?もしかしなくても…怒ってる?」ファルツが震えていた声で後ずさっていた。
「怒ってません。ただ、胸がムカムカしてファルツの事を攻撃したいと思っただけです」私は自分でも驚くほど冷たい声を出していた。
「いや…えっと…俺、彼女に興味ないから、俺が好きなのは…「うふふ」何か大事なことを言いかけたファルツを笑い声が邪魔をした。
「そちらの方はなにがおかしいの…」
「だって、このはってばヤキモチをやいてるのだもの…そんな必要ないのに」そこにいたのは、ブラウスに裾が波打つようなフレアースカート…シンプルながら品のよい仕立ての服をまとった女性だった
「どういう意味?それになんで…私の名前を知っているの?」私の中で響く警鐘がまた強くなった気がした。
「まだ思い出さない?」そういって、その女性は私に笑みを向ける…その笑みに私の魂は揺さぶられる。そう…私は彼女を知っている
「このはちゃん。彼女がウィネス・アクライ…あの魔法を狙う魔王だ!」
「つまり…彼女を倒せば、安全に目的地まで行けると言うことですね」そういって私は彼女に古鉄を突きつける…だけど
「あるじ様…なにを動揺してるんですか?」
「え?」古鉄の声で私は自分が震えていることに気づいた。
「あらあら…まだ思い出さないのこのは?わたしは…」
「黙れ!」これ以上ウィネスの言葉を聞いちゃいけない・・・そんな気がし、私はとっさにスイッチを切り替えていた。
『標的確認。発射(ファイア)』放たれた複数の砲撃はすべてウィネスに突き刺さる…だが…
「あなたの母親でしょ」私を狂わせる…その言葉は…“私”の意識を闇に落とした。